水の通り路 -地下水脈に集う文化施設-
近代建築2013年6月号 掲載
竣 工:unbuild
所在地:東京都新宿区
主用途:文化施設
構 造:S造+RC造

「水循環」から外れてしまった東京のジオ
コンクリートで覆い尽くされてしまった東京のジオ(地下)。地表に降る雨水は地下水脈へ浸透せず、表層で溜まり、下水へと捨てられる。
都市は「水循環」のサイクルから外れてしまった。
東京は地形の起伏が激しく、数多の谷、そして、その谷底には地下水脈が存在する。
このような水が集まる場所は古来より、人が集い、大衆文化が生まれ、街が発展していった。その発展が現代まで無秩序に続いた結果、ビルが立ち並び、人工物で覆い尽くされてしまった。
地下水脈を顕在化させる都市の風景
「水循環」のサイクルから外れてしまった東京の谷を、元のサイクルへ戻す。
地中へ雨水の浸透を促し「水循環」の一部となる建築、そして、地下水脈を顕在化することで生まれる新たな東京の谷の風景を提案する。
「水循環」の一部となる建築は、建築と水が共生し、「水循環」のサイクルが空間へと昇華する。降雨によって水の壁や柱が生まれ、天候によって空間が変化する。
少しずつ地中の潤いと土壌の豊かさを取り戻す都市は、年月をかけ、緑を育み、東京の谷に緑の帯を作り出していく。